T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

八月なので、平和に関する教材について その5

 こんにちは。

 T・たまもです。

 八月なので、平和に関する教材について、ということで先週の続きです。

 「広島の原爆」を主題にした作品でもうひとつ授業したことがあるのは現代詩。

 石垣りんの「挨拶」です。

 

 「挨拶~原爆の写真に寄せて」は、職場に広島の原爆の写真を掲示するに当たり、あまりにも刺激の強い写真なので、朝突然見る人たちのために、作者が頼まれて作ったという詩です。

 したがって、当事者ではない視線というのがポイント。

 中学校でも教材になっているようですが、中学生にこれで授業というのはなかなかチャレンジャーだと思います。

 テーマがはっきり分かる詩なので授業はしやすいと思うし、平明なことばで表現されているので、生徒も混乱しません。

 が、「昨日の顔」は「明日の顔」、つまり「今日の顔」は「昨日の前日の顔」、原爆の写真は「過去という未来を映す鏡」なのだというかなり複雑な多重構造だからです。

 

 また、石垣りんは「わかりやすい」ので教科書に採用される詩が多いのですが、実は筋金入りの女傑(「私の自叙伝」を読むとそう思う)ですから、本気で彼女の詩を授業でするときは相当の覚悟が必要だと思います。

 特に戦争を扱った詩に関してはこの「挨拶」にせよ、「崖」にせよ、権力に対する”怒り”みたいなものを指導者が分かっていないと、授業が浅いものになってしまうと思うのです。