T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

それと知られぬ名馬は、逆に役立たずと思われて・・・「雑説」 その1

 こんにちは。

 T・たまもです。

 今日は、先週に続いて漢文を取り上げます。

 

 世有伯楽、然後有千里馬。千里馬常有、而伯楽不常有。故雖有名馬、祇辱於奴隷人之手、駢死於槽櫪之間、不以千里称也。馬之千里者、一食或尽粟一石。食馬者、不知其能千里而食也。是馬也、雖有千里之能、食不飽、力不足、才美不外見。且欲与常馬等、不可得。安求其能千里也。
策之不以其道。食之不能尽其材。鳴之而不能通其意。執策而臨之曰、「天下無馬。」
嗚呼、其真無馬邪、其真不知馬也。

 

 この「雑説」も、漢文の入門期に良く扱う教材です。

 「説」とは、論説文、つまり意見文のことですね。

 「雑」ですから、とくにテーマがないとか、思いつくままとかの意でしょうか。

 だったら、エッセイに近いのかもしれません。

 元の文章は四話あり、そのうちのひとつです。

 「借虎威」より文章が長いのですが、お話としてはやはりとてもわかりやすい。

 それと知られぬ名馬は、逆に役立たずと思われて埋もれることの方が多い、という悲しいお話というより名馬を見抜かねばならぬ者への警告です。

 

 今日も授業用に作ったプリントをば、お見せしましょう。

 これは、筆ペンとサインペンで描いたので、割とはっきり見えるかと思います。

 あらら、下にあるプリントの字がちょっと透けていますね。

 提出させたら、きれいに色づけしてあったり、なかなかの名訳があったり、とても楽しかったのを覚えています。 

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雑説のプリント

 作者の韓愈は中国,唐代中期の文学者,思想家,政治家。

 字は退之。唐宋八家の一人として知られます。

 当時は駢文という技巧を凝らした文体がはやっていたようなのですが、韓愈は平易な文章を書く方のようです。

 科挙に落ちたのはそのせいだという話があるくらい。