こんにちは。
T・たまもです。
今日ご紹介する本は、戯曲。
私、泉鏡花の愛読者なんです。
「婦系図」だけは、まだ読んでいません。
だって、それを読んだらもう終わりなんだもの。
もう少し先の楽しみにとってあるのです。
で、何度か繰り返し読んでいるのは、この「夜叉ヶ池」とか、「天守物語」「海神別荘」といった戯曲です。
映像化もされているので、ご覧になった方もいるでしょう。
鏡花が描く美女の体現、坂東玉三郎が主演しています。
そうそう、玉三郎さんは「外科室」で監督もしてましたね。
吉永小百合と加藤雅也というきれいどころの共演でした。うっとり。
それはさておき。
妖怪変化と呼ばれるものたちと、人間との対比がすごくするどい。
人間は自分ファーストです。
人間ではないものを見下します。
そして、自分たちの論理が自分勝手であることに自覚がありません。
相手が妖怪だから「怖い」「醜い」「裏切ってもかまわない」。
約束を破るのはいつも人間です。
高雅な妖怪たちは、自分たちに勝つ力がじゅうぶんにあっても、たとえ不平等な取り決めであっても、「約束したこと」は必ず守ります。
守り方が妖怪独特であるとしても。
ということは、報復も妖怪独特になるのでしょう。
この世ならぬ者と約束を交わすときはくれぐれも気をつけなくてはなりません。