こんにちは。
T・たまもです。
年をまたいでしまいましたが、「なめとこ山の熊」の続きです。
今日は、授業のデザインについてお話ししましょう。
「主人公がどんな出来事によってどんな心情変化をするのか」
ということを、小説の場合、生徒が理解する必要があります。
私はそのために、すべての授業を貫く軸というか、世界観のようなモノが必要になると思っています。
それはその小説のテーマと同じこともあれば、異なるときもあります。
それは扱う部分や時数、生徒の発達段階や習熟度によるからです。
例えば「羅生門」などは、よく「エゴイズム」がテーマとされます。
が、私は授業では「人生の選択」を念頭に授業を進めることが多かったです。
この「なめとこ山の熊」は、なにしろ主人公は熊のようなオヤジだし、第一次産業従事者、しかも死んだり殺したりの仕事です。
生徒が感情移入できるところがあまりありません。
そこで私が軸にしたのは、「魂の美しさ」ということです。
熊に象徴される自然界(すべての生き物が平等な世界)と、荒物屋に象徴される人間界(=人間はすべての生き物の頂点にあり、生き物は人間の糧である世界)の対比。
その狭間にいて、ただでさえ人間として猟師であることに苦痛を感じている小十郎が、熊の魂の美しさと、人間の魂の醜さの間で揺れ動く、その姿を生徒に追わせようと思いました。
まだつづきます。