こんにちは。
T・たまもです。
昨日の続きです。
「大鏡」の「道隆と福足君」のお話の途中です。
福足君は、舞台に上がってから、「踊らない!」と反逆ののろしを打ち上げたのでしたね。
そこで登場するのが道隆、福足君の伯父上です。
おそらく、舞台は庭にしつらえられ、御殿の縁側に男性諸氏、御簾の向こうの座敷うちに女性陣が、息をのんで見物していたものと思われます。
道隆は舞台に上がって、片手で福足君の腰を捕まえて引きつけ、もう片手で手を取って一緒に舞い始めます。
原文では
「御手づからいみじう舞はせ給ひたりし(自分で手を取って立派に福足君にお舞わせになった)」
とありますから、道隆自身も覚えのある舞だったのでしょう。
福足君も「踊らない!」と叫んではみたものの自分一人では収拾が付かなくなっていたところだったでしょうから、あえて道隆のリードに逆らわなかったのではないでしょうか。
というわけで、福足君の晴れ舞台は伯父上の機転でより素晴らしいものになり、お祖父さまもパパもほっとしましたとさ・・・めでたし。
さて、ところで、このときの福足君は何歳くらいでしょう?
一人で舞台がつとめられて、台無しにするタイミングをわかっている、でも収拾をつけることは出来ない、私は5~9歳くらいであろうと推測しましたが、いかがでしょうか。
作者は最後に、これほど情愛深い道隆の家系が没落することを嘆きます。
そして、気になる福足君のその後。
頭に腫れ物が出来て亡くなったそうです。
作者はそれを「蛇をいじめた祟りで」と書いています。
福足君ならあり得そうと思うところです。