こんにちは。
T・たまもです。
今日ご紹介する本は、小説。
杉の木のてっぺんからラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。
誰にも聞こえない、でも誰にでも聞ける、誰でも参加できる、でも参加には条件がある。
本当は参加条件を満たさない人々に、本の形で届いた電波なんだなあ、と、思いました。
作者のいとうせいこうさんは、この作品について、
「実際の被災者ではない自分が、3.11を書く資格があるのか」
と悩んだ、と聞きました。
でも、「経験者」であることはひとつのアドバンテージではあろうけれど、だからといって必ず良い作品が描けるかといったらそうはならないと私は思います。
なぜなら、文学は「想像力」が問われる分野だから。
シビアなことを言えば、「体験できない世界」をいかにリアルに描くか、は、経験より想像がものを言う分野だと思います。
もちろん、取材や研究は必要だと思いますけれども。
だから、作家にはチャレンジする勇気と、読者にはそれを認める寛容が欲しいなと思います。
この作品に関して言えば、私は「ラジオ」という媒体を選んだ作者のセンスはなかなかのものだと思いました。
(上から目線。すみません)
まだ10年。
DJアークは、どうしているのでしょうか。