こんにちは。
T・たまもです。
先週から、「伊勢物語」の「筒井筒」を取りあげています。
幼なじみの男女が、初恋を実らせ、結婚したところまでお話ししました。
さて、初恋を実らせたものの、結婚は今も昔も愛だけでは継続出来ません。
そう、経済力は大切。
このお話は招婿婚、つまり女性の家が結婚生活の家計を担っています。
最初に主人公が「行商人」とあったのだから、稼いでいそうなものです。
でも、他に女を作った理由はヒロインの家が没落したからだと述べています。
財産を受け継いでいくのが女性であるというのは現代の感覚だと不思議な気がします。
子供がまちがいなくその家の血を引いているかどうか、どうやって確かめたらいいのでしょう。
DNA鑑定なんてできなかったこの時代、出産した母親が自分の家の娘であるということが一番の証拠になります。
通ってくる恋人の中で一番条件の良い男が「父親=夫」として選ばれる、できちゃった婚もあったでしょう。
お嫁さんがお婿さんの家に住む、嫁取り婚になればまた話は変わってくるのですがね。
話がそれました。
お婿さんが複数の女性の家に通うなんて珍しいことではなかったはず。
それでも熱烈な恋愛を経て結婚した相手ならば、複雑な思いを抱いたことでしょう。
そして、自分が浮気するなら相手もしても不思議はない、と思うのが人の性なのか、男の勝手なのか、平然と送り出す妻に不審を抱く男なのでした。
ヒロインが夫のいない時にしっかり化粧をして着飾って、いない夫の無事を祈ります。
それを隠れて見ている夫。
ちょっとあざとすぎるような演出で、夫の心はヒロインに戻ります。
中には「ねえ、これ、夫が隠れて覗いてるって知っていてやってない?」と怪しむ生徒もいます。
つづく。