こんにちは。
T・たまもです。
今日ご紹介する本は、評論。
上西充子「呪いの言葉の解き方」晶文社
安倍晴明が「呪(しゅ)」とは、相手を縛る言葉だ、と、言っていました。
原作の小説にもあったセリフなのかは、定かではありません。
その場面の絵がとっても印象的だったのです。
だって、相方の博雅クンが、自分の名前を「呪」に使われて、文字通り呪縛されて動けなくなっていたんですもの。
名付ける、ということが「呪(のろ)い」の始まり。
つまり相手を「山田さん」とか「日本人」とか「今どきの若い者」というようなくくりに縛り付けるものだとすれば、いずれそれは「行いのあり方」にも広がってくる。
現在、過去、未来すべてに渡って。
「母親がしっかりしないと」
「男なら泣くな」
「そんなことやって何の役に立つの」等々。
それは、たまに「魔法の呪文」として相手を鼓舞する救いの言葉として作用することもある。
ほんとに、たま~に。
たいがいの場合は、劣悪な環境やずさんなシステムや悪意を棚にあげているだけ。
なのに、
「私は母親失格なんだ」
「オレはダメ男だ」
「役に立たないのはダメなんだ」
と相手に思わせる。
「呪いの言葉」という名付け、これもいわば「呪」なのですが。
斬新な発見です。
人を呪わば穴二つ。
他人様に呪いをかける時は呪詛返しされることを覚悟なさいませ。
上西さんは、そこまでは言ってない。
やんわりと呪いを解く言葉をお返しなさい、くらい。