T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

生活に役に立たないものを作る・・・漢文「公輸削鵲」その1

 こんにちは。

 T・たまもです。

 今日は、漢文、「公輸削鵲」を取りあげてみましょう。

 以下、本文。

 

公輸子削竹木以為鵲、成而飛之、三日不下、公輸子自以為至巧。
墨子謂公輸子曰、
子之為鵲也、不如匠之為車轄。
須臾劉三寸之木、而任五十石之重。
故所為功、利於人謂之巧、不利於人謂之拙。

 

現代語訳の代わりに、私の拙いマンガ。

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 この話が載っているのは「墨子(ぼくし)」。

 墨翟(ぼくてき)という諸子百家のうちのひとりの尊称であり、著書の題名でもあります。

 この文章に出てくる「墨子」は著者本人ということになります。
 公輸は、公輸盤(こうしゅばん)という中国の伝説的な大工さん。

 日本でいう飛騨の甚五郎みだいな感じでしょうか。

 色々な発明や、名建築はみんな彼の作品といわれているそうです。

 

 墨子は公輸が宋国を攻めるために武器を開発したと知って、それを止めるために楚国に駆けつけます。

 楚国の王様はこの新兵器を使ってみたかったんですね。

 さまざま説得したあげく、公輸と模擬戦をして墨子が勝ったら攻めるのは取りやめにすることになりました。

 で、墨子が九戦全勝。

 というエピソードが「墨子」に出ています。

 墨子はどちらかというとキリスト教的な平和主義者、平等主義者で、当時(戦国時代)もその後も中国の思想家としては異端児だったようです。

 

 ということで、表題の「公輸削鵲」ですが、武器や装飾品やおもちゃのように生活に役に立たないものを作るより、生活必需品または生活を便利にする品物を作る方が価値のある仕事だという寓話になっています。

 ウィキに寄れば、公輸はかささぎだけでなく人が乗れるようなとんびまで作ったそうで、お父さんがよけいな細工をして自分が乗って飛ばしたらよその国まで行ってしまい不法侵入者として殺されたなんてエピソードもあるそうです。