こんにちは。
T・たまもです。
今日ご紹介する本は、エッセイ。
聞き書きなので、正しく言うとご本人が文章を書かれたわけではないのでしょうけれど。
レシピ本とは一線を画す本です。
たしか、「美味しんぼ」の中で、山岡士郎が「俺のバイブル」と呼んでいた名著。
名著、です。
実を言うと、読み終わるのが惜しくて、一巻から足かけ2年。
家庭での料理のヒント、というコンセプトは変わらないのですが、巻が進むにつれ、だんだん話は深まっていきます。
四巻は「お茶事その他」ということで著者の修業時代の話やヨーロッパ視察、懐石料理の献立など、より精神性の強い話が多い。
でもね、読んでいると、この湯木さんは、ほんとうに食というものを愛しているということが伝わってきます。
何を作るにしても、誰に作るにしても、心と手間を掛けているのです。
料理屋の仕事は家庭の料理とは違う。
きっちりと線を引いた上で、料理屋の仕事で家庭のヒントになることがあるならばと惜しげもなく知識やテクニックを開陳しています。
心づくしの料理があれば家族は幸せになれる(俗に言う胃袋をつかむってやつですね)という確信と、それでも料理屋は(非日常だからこそ)成立するという自信がおありなのでしょう。
ちなみに、うっとりと読みながら写しておいたレシピは、
「鶏レバーのつくだ煮」
のみ。
こういうなにげない料理こそ差が出るってモノでしょ(爆)。
今までと何が違うと言われると困るのですが、「吉兆風」と言うだけでひと味美味しくなった気がするんですよ・・・。