こんにちは。
T・たまもです。
今日ご紹介する本は小説。
かのユゴーです。
「レ・ミゼラブル」以来、ずーっと読みたいなーと思っていたのですが、最近やっと読むことができました。
キャラ立ちといい、語り口といい、伏線の回収といい、さすがユゴーです。
初期の傑作とありましたが、レミゼよりずっと前に書かれているのね。
主人公は、せむし男カジモド、と思っていたのですが、ちがう。
本当の主人公はタイトルロール、「ノートル=ダム・ド・パリ」。
建物です。
そして、パリの街。
もちろん、ノートル=ダムとカジモドは同じものという叙述がありますから、カジモド=大聖堂、エスメラルダ=天使または聖母マリア、宿無したち=旧市街区というメタファーと考えることもできるのですけれど。
これだけ街の描写が魅力的なのってあまりないと思う。
ガイドにしたいくらい。
ところで、語り口があまりに軽妙なのでハッピーエンドをつい期待してしまいましたが、名作は登場人物に甘くありません。
「宿命」というおどろおどろしい序章にちゃんと響き合う結末です。
でもねー、エスメラルダは美しく生まれついた女の宿命というにはあまりに気の毒ですよ。
いくら15世紀でもね。
カジモドも、醜く生まれついた男の宿命、というならば、エスメラルダと対になるのでしょうけれど、ノートル=ダム攻防戦の奮闘というヒーローらしいクライマックスの場面を与えてもらっているし。
許せないのはシャトーペールとグランゴワールです。
男気というものがないのか、おのれらは。
苦悩のストーカー、クロードも単に女の美貌に惑わされるおのれの弱さを女に責任転嫁しているだけだし、あれ、そうするとろくな男がいないではありませんか。