こんにちは。
T・たまもです。
今週は「大鏡」の中から、「道隆(みちたか)と福足君(ふくたりぎみ)」というお話を取りあげています。
昨日は、主な登場人物を紹介しました。
今日は、内容に入ります。
事は道隆・道兼・道長兄弟の父・藤原兼家(ふじわらのかねいえ)の六十歳のお祝いがある、というところから始まります。
当時は誕生日より新年で年を取りますが、イメージとしては誕生祝い、60歳ですから還暦のお祝い、しかもこの当時なら長寿のお祝いでもあるでしょう。
兼家はエライ人でもあるので、この年(988年)に4度もお祝いの宴が開かれています。
公式の記録にあるだけで4度なら、内輪の宴会とか、お祝いの来客とか、大騒ぎの年だったろうなという気がします。
その、どれかの宴会で、孫に当たる福足君が舞を見せることになりました。
まあ、孫が余興的なもの(楽器を弾くとか、歌を歌うとか、踊りを見せるとか)を見せてくれるのは、いつの時代だろうと、じいじ、ばあばには嬉しいことです。
一生懸命やっている姿がいじらしくてかわいいもの。
ついでに上手なら、パパママは鼻が高いよね。
ということで、ただでさえ腕白で大人のいうことなど聞かない福足君は日夜練習させられることになるわけです。
乗り気でない子供をどうその気にさせるか。
なだめたりすかしたり怒ったりモノで釣ったり、だいたい大人のすることは決まっていますね。
道兼パパは、祈祷までさせていたようです(もはや神頼み)。
努力の甲斐あって(福足君の、というよりは道兼の努力ですね)、なんとかサマになってきました。
舞がサマになったら、今度は衣装です。
当日、道兼はめいっぱい福足君を飾り立てます。
おそらくはこの日のために、ママと一緒に豪華な衣装をあつらえていたことでしょう。
小さな子がきれいな衣装をつければ、もう舞台に出てくるだけでかわいい。
おしゃまな女の子だったら、おすましして「お姫様」を演じられるのかもしれません。
まあ、この時代は身分の高いお嬢さまを人目にさらすことはなかったでしょうが。
つづく。