T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

古典

本格的な引っ越しをするために・・・「更級日記」その5

こんにちは。 T・たまもです。 「更級日記」のつづきです。 門出したる所は、めぐりなどもなくて、かりそめの茅屋の、しとみなどもなし。 簾かけ、幕など引きたり。 南ははるかに野のかた見やらる。ひむがし西は海ちかくて、いとおもしろし。 ゆふぎり立ち…

子供の「勉強する」はうかつに信用してはいけません・・・「更級日記」その4

こんにちは。 T・たまもです。 「更級日記」のつづきです。 いみじく心もとなきまゝに、等身に薬師仏をつくりて、手あらひなどして、人まにみそかに入りつゝ、「京にとく上げ給ひて、物語のおほく候ふなる、あるかぎり見せ給へ」と、身を捨てて額をつき、祈…

字は読めるけれど、当時の女子ならば・・・「更級日記」その3

こんにちは。 T・たまもです。 「更級日記」を読みましょうと言うことで、今回はやっと本文です。 あづま路の道のはてよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめける事にか、世の中に物語といふもののあんなる…

「東路の道の果て」・・・「更級日記」その2

こんにちは。 T・たまもです。 前回は、「更級日記」の本文に入る前に女性の名前について考えてみました。 今日もまだ本文ではありません。まあ冒頭の文節、でしょうか。 高等学校の教科書に採録されるのは、「更級日記」の冒頭と、半ば、最後が多いようで…

平安女子のビジネスネームは・・・「更級日記」その1

こんにちは。 T・たまもです。 久方ぶりに古典の一節など読んでみたいと思っています。 今回は「更級日記」にしようと思うのですが、本文に入る前に、作者について。 「更級日記」の作者は、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。 通称サラちゃん。 1…

るらるはうかじそ

こんにちは。 T・たまもです。 今日は古典文法の話です。 るらるはうかじそ すさすしむしえきそんけい ずはうちけしのず きかこけりかこえいたん (「森のくまさん」の節で) 呪文じゃないです。 年末の助動詞接続の歌に続き、今日は助動詞の意味の歌をご紹…

む~ずむずじ~まし、すっさすしむ~

こんにちは。 T・たまもです。 今日は、古典文法のお話です。 む・ず・むず・じ・まし・す・さす・しむる・らる・まほし・りはサ変つ・ぬ・たり・けり・き・けむ・たしめり・なり・まじ・らむ・べし・らしなり・たり・ごとし・りは四段 いきなり何かって? …

「技術の粋」というものは・・・漢文「公輸削鵲」その2

こんにちは。 T・たまもです。 昨日の続き。 漢文「公輸削鵲」を取りあげました。 公輸という名匠が良く飛ぶ鵲を作ったけれど、生活に役に立つものを作るのが名人で、そうでなければ下手くそな職人だ」と言われる話でした。 生活に役に立たないものを作るの…

生活に役に立たないものを作る・・・漢文「公輸削鵲」その1

こんにちは。 T・たまもです。 今日は、漢文、「公輸削鵲」を取りあげてみましょう。 以下、本文。 公輸子削竹木以為鵲、成而飛之、三日不下、公輸子自以為至巧。子墨子謂公輸子曰、子之為鵲也、不如匠之為車轄。須臾劉三寸之木、而任五十石之重。故所為功…

どんなに賢くても知らないことはある・・・漢文「論語」知るを知ると為し

こんにちは。 T・たまもです。 今日は、漢文です。 子曰く、「由(ゆう)や、女(なんじ)に之(これ)を知ることを誨(おし)えんか。 之(これ)を知るを之(これ)を知ると為し、知らざるを知らざると為す。 是れ(これ)知るなり。」と。 (先生がおっしゃる…

一定の収入を国民に保証するべき・・・? 漢文「恒産なければ恒心なし」

こんにちは。 T・たまもです。 今日は、漢文。. 孟子の「恒産なければ恒心なし」を取りあげてみましょう。 孟子曰、「無恒産而有恒心者、惟士為能。若民則無恒産、因無恒心。苟無恒心、放辟邪侈、無不為已。及陥於罪、然後従而刑之、是罔民也。焉有仁人在位…

エプロンをしていない時に限って汚す・・・「枕草子」ありがたきものその3

こんにちは。 T・たまもです。 オリンピックのスポーツクライミングが面白くて、昨日は更新をすっ飛ばしました。 今日は女子の決勝があるので、時間があるうちに書きます。 先週の続き、枕草子から、「ありがたきもの」。 残りふたつについてです。 物語、…

この人は完璧そう、と思っても、つきあいが長くなると・・・「枕草子」ありがたきもの その2

こんにちは。 T・たまもです。 「枕草子」から、「ありがたきもの(めったにないもの)」を取りあげています。 今日は、3番目の「ありがたきもの」から。 本文から行きましょう。 主そしらぬ従者(ずさ)。 主人の悪口を言わない家来、というのも、「主人」…

「有り難し」という、言葉の意味は・・・「枕草子」ありがたきもの その1

こんにちは。 T・たまもです。 枕草子は、清少納言(せいしょうなごん)が書いた、日本三大随筆のひとつ。 今回は、ものづくしのジャンルから、「ありがたきもの」を取りあげましょう。 「有り難し」という、現代は「感謝」が第一義の古語。 古語としては、…

男が求めているのは「みやびな女」・・・「伊勢物語」筒井筒その5

こんにちは。 T・たまもです。 「伊勢物語」の「筒井筒」の段を取りあげています。 愛人の高安さんは、久しぶりに来た男の気を引こうとして、かえってミスを犯しました。 男が求めているのは「みやびな女」であること。 したがって、かいがいしくご飯の給仕…

夫が「グッとくる」ポイントは・・・? 「伊勢物語」筒井筒その4

こんにちは。 T・たまもです。 「伊勢物語」の「筒井筒」の段を取りあげています。 妻の真心を知って、夫(主人公の男)が浮気相手のところに通うのをやめたところまでお話ししました。 そこまでで採録をやめている教科書も多いですが、実は続きがあります…

結婚は今も昔も愛だけでは継続出来ない・・・「伊勢物語」筒井筒その3

こんにちは。 T・たまもです。 先週から、「伊勢物語」の「筒井筒」を取りあげています。 幼なじみの男女が、初恋を実らせ、結婚したところまでお話ししました。 さて、初恋を実らせたものの、結婚は今も昔も愛だけでは継続出来ません。 そう、経済力は大切…

結婚を家族が認めるというのは・・・「伊勢物語」筒井筒 その2

こんにちは。 T・たまもです。 昨日は「伊勢物語」の主人公のモデル、在原業平(ありわらのなりひら)のお話を少ししました。 「伊勢物語」のなかの「筒井筒」は、古典の教科書の定番です。 このお話は平安時代の結婚のありかたを検討するのに良い参考にな…

永遠の色男、といえば・・・「伊勢物語」筒井筒その1

永遠の色男、といえば光源氏を思い浮かべる方も多いでしょう。 が、実在の人物で色男の名をほしいままにしたのが在原業平。 天皇の孫でありながら、藤原家の台頭に抵抗出来ず、血筋ほどの出世もせず。 その代わり六歌仙のひとり、美男子の「在五中将」として…

かかる時はかかる情こそ・・・「去来抄」・「うづくまる・・・」その2

こんにちは。 T・たまもです。 昨日の続きです。 「去来抄」を取りあげています。 臨終間際の師匠(芭蕉)を題材に、俳句を作れと言われた弟子たち。 「うづくまる薬缶のもとの寒さかな」 は、丈草の作品です。 他には 「病中のあまりすするや冬ごもり」去…

間もなく死ぬ師匠を題材に・・・「去来抄」・「うづくまる・・・」その1

こんにちは。 T・たまもです。 今回は、古文を取りあげたいと思います。 「去来抄」。 「去来抄」とは、松尾芭蕉の弟子である向井去来が書いた俳句の評論集です。 江戸時代の文章なので、わりとわかりやすい。 今回は、その中から 「うづくまる薬缶のもとの…

収拾をつけたのは・・・? 「大鏡」 道隆と福足君 その4

こんにちは。 T・たまもです。 昨日の続きです。 「大鏡」の「道隆と福足君」のお話の途中です。 福足君は、舞台に上がってから、「踊らない!」と反逆ののろしを打ち上げたのでしたね。 そこで登場するのが道隆、福足君の伯父上です。 おそらく、舞台は庭…

きっと何かやらかすにちがいない・・・?「大鏡」道隆と福足君 その3

こんにちは。 今日は、先週に引き続き、「大鏡」から、道隆と福足君のお話です。 やっとこさ踊りをマスターして、兼家じいじのお祝い当日。 福足君は衣装をつけ、髪を結い、おとなしく舞台に上がります。 パパの道兼は、 「やっとやる気になった(あきらめて…

じいじを喜ばせるには・・・? 「大鏡」道隆と福足君 その2

こんにちは。 T・たまもです。 今週は「大鏡」の中から、「道隆(みちたか)と福足君(ふくたりぎみ)」というお話を取りあげています。 昨日は、主な登場人物を紹介しました。 今日は、内容に入ります。 事は道隆・道兼・道長兄弟の父・藤原兼家(ふじわら…

道長の甥っ子だけのことはあるなあ・・・「大鏡」道隆と福足君 その1

こんにちは。 T・たまもです。 今週は、古典のお話をしようと思います。 「大鏡」といえば、藤原道長(ふじわらのみちなが)の栄華を中心に描いた歴史物語。 「花山天皇の出家」や、「弓争い」「肝試し」などが高校の授業では定番ですが、今回は「道隆と福…

クラゲには昔ちゃんと骨があった・・・? 「枕草子」中納言参り給ひて その4

こんにちは。 T・たまもです。 昨日の続きです。 中納言・藤原隆家(ふじわらのたかいえ)が、定子を訪問し、「すばらしい扇の骨を手に入れた」と自慢をする話です。 でも、その骨の素晴らしさについて、「ヤバい」しか言わないので、清少納言が「まるでク…

ヤバいの手に入れたんですよ~、と言われたら・・・「枕草子」中納言参り給ひて その3

こんにちは。 T・たまもです。 先週、「枕草子」から、「中納言参り給ひて」を取りあげました。っきょうもその続きです。 先週、中納言・藤原隆家(ふじわらのたかいえ)が、定子を訪問し、「すばらしい扇の骨を手に入れた」と自慢をする話だとご紹介しまし…

藤原家一族のプロフィールは・・・?「枕草子」中納言参り給ひて その2

こんにちは。 T・たまもです。 昨日の続きです。 「枕草子」から、「中納言参り給ひて」を取りあげています。 中納言・藤原隆家(ふじわらのたかいえ)が、中宮・定子(ていし)を訪問し、「すばらしい扇の骨を手に入れた」と自慢をする話です。 文法的には…

女性が書いた日本三大随筆といえば・・・?「枕草子」中納言参り給ひて その1

こんにちは。 T・たまもです。 枕草子と言えば清少納言(せいしょうなごん)が書いた、日本三大随筆のひとつ。 学校で習うときは、紫式部(むらさきしきぶ)と対比されることが多いので、強敵と書いライバルと読むのが好きな中高校生にとっては、割とポピュ…

乗っているろばの上で手を振り回したら・・・ 「推敲」その2

乗っているろばの上で手を振り回したら・・・交通事故が起きます。 こんにちは。 T・たまもです。 昨日の漢文「推敲」のつづきです。 自転車に乗りながら考えごとをして、両手を放してふりまわしているようなもの、と授業では説明をします。 すると、当然「危…