こんにちは。
T・たまもです。
今日は、漢文「推敲」をとりあげます。
賈島赴挙至京、騎驢賦詩、得「僧推月下門」之句。
欲改推作敲。
引手作推敲之勢、未決。
不覚衝大尹韓愈。
乃具言。
愈曰、「敲字佳矣。」
遂並轡論詩久之。
「唐詩紀事」という本に載っているお話です。
推敲といえば、文章を書いた後に、表現や字句を良くするために何度も練り直すという意味で作文学習の時に使われる言葉です。
そもそもは「PUSHおす」と「KNOCKたたく」の意味だとご存じですか。
なんとなく、推理の「推」だから、「考える」かなあ、敲がつくと「よく考える」くらいの意味になるのかしらんと思っていませんか。
私はこの言葉を初めて知ったとき、まずそう思いました。
言葉には出さなかったけど。
そして、辞書を引いて、「PUSHおす」と「KNOCKたたく」の意味だと知ったのです。
辞書は使うモノですね。
この「推敲」というエピソードは、なぜ推敲が文章を練り直すという意味になったかの由来です。
先週、紹介した「雑説」の作者・韓愈が、今度は登場人物になっています。
(ぶつかったのは韓愈の行列でしょうが、プリントではわかりやすく韓愈本人にぶつかったことにしています。)
賈島というのは、詩人の名前で、韓愈の弟子だそうです。
韓愈は自分自身が有名詩人だっただけでなく、大勢の若い詩人たちの面倒を見た「アニキ」だったようで、このエピソードは、その一面が見られます。
「おしてもたたいても、どっちでもいいじゃん」と思いますが、韓愈もまじめに「たたくの方が良いな」と言っています。
二人とも詩人なんだね~とほほえましい。
「おす」だとすでに門は開いていて「たたく」だとまだ門は開いていません。
ぎいいという門を開ける音より、ほとほととたたく音の方が風流だということでしょうか・・・。