こんにちは。
T・たまもです。
今回は、清岡卓行の「手の変幻」という評論を取りあげてみたいと思います。
筆者の清岡卓行さんは、詩人です。
小説家としても1969年に出した「アカシアの大連」で芥川賞を受賞しています。
この評論は本当に、もはや古典と言って良い定番教材です。
何を隠そう私もウン十年前に高校一年で習いました。
入門期の評論に使うことが多いですが、エッセイというか、詩的な印象が強い文章です。
最近は「ミロのヴィーナス」という題がついていることが多いですね。
けれど、本来は「失われた両腕」という標題がついている作品です。
1966年に刊行した「手の変幻」のなかの一節。
「失われた両腕」という本来の題は、なにやら倫理規定に引っかかるのでしょうか。
自主規制なのかわかりませんが、正直な話、「ミロのヴィーナス」というのはあまりに安直な題だと思います。
テーマは美術論ではなく「人にとって手(腕)とは何か?」ですから、微妙なズレがあります。