こんにちは。
T・たまもです。
茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」を取りあげています。
第5~7連では、敗戦ですべてがひっくり返った中での混乱した状態が描かれます。
ジャズを聴いた時の衝撃を「禁煙を破ったとき」にたとえています。
「禁煙したことある人、って、いるわけないか」
と軽口をたたくと、ニヤニヤする生徒たち。
そのまえに、敗戦のショックを
「例えば、オリンピックに出させてやるって言われて、すべてを犠牲にしてがんばっていたのに、中止になった、なんて状況を想像してごらんなさい」
と、振ってあります。
「我慢していた好物とか、なら、ちょっとわかるかな?」
そのうえで、落差を示すために、私はよく軍歌とジャズを聞き比べさせていました。
軍歌は「暁に祈る」と、「軍艦マーチ」。
ジャズは「イン・ザ・ムード」と「ムーンライト・セレナーデ」。
「軍艦マーチ」は明るすぎるくらいのメロディ。
同時代の音楽なのに「イン・ザ・ムード」とは全く違う世界観であることに生徒たちはショックを受けるようです。
「負けるはずだよね・・・」
と、ぽつんと生徒が言っていたことがありました。
最後の第9連。
「長生きして、どうするのだろう」
と問いかけると、
「一番幸せになるんじゃない」
と、答える生徒。
それは、作者の希望でもあるし、若い人すべての希望でもあるでしょう。
「若い」ということは、何にでも成れる可能性を持つ時期、つまりは思い通りに行かない時期でもありますから。
思い通りになるのは遠い未来だと、正確に言えば、遠い未来には思い通りになって欲しいと思う時期なのでしょう。