T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

今まででいちばん印象的なスピーチ

 こんにちは。

 何度目なの?と、自分に突っ込みながらも、「おうちのお片付けをしよう」と、決意したT・たまもです。

 

今週は、スピーチについて考えていきましょう。 

 わたしが今までに聞いたスピーチの中で、最も印象に残っているのは、もう20年近く前の卒業式。
 卒業担任の挨拶でした。
 卒業担任7人の代表で、学年主任の先生が登壇しました。


 どんなに話し下手、と言ったって、教員は50分単位で話すことになれていますから、急に振られても話し始めれば結構長くできるし、長くなります。
 ふつう、式典のスピーチなら原稿を用意しますから5分から10分というところでしょう。
 ところが、その先生は、登壇から降壇までものの3分とかかりませんでした。

 スピーチ自体は1分くらい。

 それも、ゆっくり、ゆっくり、絞り出すように。


 「桜の花はひとつひとつは小さい」
 「その小さい花がたくさん集まって、桜の木になる」
 「あの美しさは、小さい花の集まりだ、この学校も同じだ」


 正確な言葉は忘れてしまいましたが、このような内容でした。

 聴衆はあっけにとられ、次に喝采
 ただ、不思議だったのはいつもの闊達な先生らしくなかったこと。
 あとで、聞かれた本人曰く、
「私の前の人のスピーチ内容が私の用意したのと全く同じで、もう真っ青。どうしようって思いながら、真っ白状態で登壇したんですよ」
 その、「前の人」が何を話したのか、私は全然覚えていません。
 世の中、そんなものです。