T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

読書の時間 「貧乏神髄」

 こんにちは。

 T・たまもです。

 暑くて、あまり体調がよくありません。というのをいいわけに、3日もブログをサボりました。すみません。

 

 さて、今日紹介する本は、エッセイです。 

 

川上卓也「貧乏神髄」WAVE出版

 

 先ほど、アマゾンを見てみたら、もう絶版らしいのですが、評価は様ざまでした。

 私は「すごい・・」と、思った一人です。何がすごいって、「貧乏」ということが、恥ではないとちゃんとわかっているから。


 「誇り高い貧乏」といえば、森茉莉の「贅沢貧乏」が思い浮かびます。

 あれを読んだときも思ったのですが、精神が本当に豊かであれば、経済的に貧乏であることなどで、その精神を蝕まれたりしないのだなあということ。

 

 もちろん、病気の治療ができなかったり、人肉を食べたり、人身売買をするような貧困はこの21世紀にあるべきではないでしょう。

 けれども、誤解を恐れずにいえば、貧乏を理由に「いい暮らしができない」とか、「したいことが何もできない」とか、「そんな自分が情けない」とか、自分を卑下するようなことは「貧乏くさい」こと。自分の現在(や選択)に自信を持って、心の平穏を保てることができれば、「誇り高い貧乏」と言えるのではないでしょうか。


 以前、古文でこんな説話を読みました。笛吹きの名人が極貧の暮らしをしているのを見かねて、大金持ちが生活の援助をする。さして感謝している風もなかったのが、ある日、願い事があると屋敷にやってくる。ついに欲が出たかと思ったら、金持ちの領地にある竹がを笛の材料として素晴らしいと聞いたので都合してもらいたい、と、よれよれの着物で楽しそうに願った。大金持ちはその欲のなさに感じ入った、という話でした。ここまでいくとさすがに真似できませんけれども。