T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

瞳を開いて見るべきものは・・・ 読書の時間「二十四の瞳」

 こんにちは。

 T・たまもです。

 今日ご紹介する本は、小説。

 社会派です。

 

壺井栄二十四の瞳角川書店

 

 誰もが題名は知っているといっても良い有名な作品ですね。

 高峰秀子と田中裕子の映画があるほかに、テレビではアニメを含め8度も映像化されているそうです。

 

 少年小説と言いながら、実はえらく巧みな反戦小説なのでした。

 政治の中心地で行われていることなど全く関係のないような、貧しい平和な村の生活がじわじわと、それとは知らずちゃんと’政治’に巻き込まれていく。

 庶民が知るのは、目の前に出てくる現象(例えば「不況」だとか、隣の旦那が「兵隊に取られた」とか、)だけだし、それがなぜ、なにがどうして、どこへつながるのかとは考えません。

 それを考えるのはそういう仕事をしている人だけがすること、むしろ庶民は考えてはいけなかったのかもしれません。

 大石先生が子どもたちを前に

「この瞳をどうしてにごしてよいものか!」

と思ったときから物語は回り始めます。

 いくつもの瞳がかげり、また光を失っていきます。

 これらの瞳は、庶民の象徴なのでしょう。