T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

近未来なのに、妙に封建時代のような・・・読書の時間「侍女の物語」

 こんにちは。

 T・たまもです。 

 今日ご紹介する本は小説。


マーガレット・アトウッド侍女の物語早川書房

 

 久しぶりに怖い本を読んだ・・・と思いました。

 この小説は、いわゆるディストピア小説、と呼ばれるジャンル。

 近未来を舞台にしているというのだから、広い意味ではSFになるのでしょう。

 1986年に刊行されています。

 40年も前。

 先見の明がある小説であると、最近再び話題になっているそうです。

 何が先見の明かって?

 私は読みながら、タリバンとかIS国とかその他諸某国はこんななのだろうか、と感じていました。

 近未来なのに、妙に封建時代の手記のような、そう、まさに小説(ノベル)と言うより物語(テール)。

 人工授精は禁止されているのに、代理母はOK、コンピューターやクレジットカードはあるのに処刑は縛り首、しかも公開。

 もろもろ為政者の都合の良いとこ取りで、先端技術と古典的手法がまぜこぜ。

 迷惑を被るのは女性と庶民なのでした。

 

 主人公の本名は最後まで明かされず、処刑される者たちは袋をかぶせられて顔が見えない。

 リアルであるとともに、すぐれたメタファーとも言えましょう。

 誰だかわからないということは、あなたかもしれず、私かもしれない、という。