こんにちは。
T・たまもです。
今日ご紹介する本は小説。
ジョン・スタインベック「赤い小馬」新潮社
スタインベックは、「怒りの葡萄」などで知られるアメリカの作家。
ノーベル文学賞を受賞しています。
この「赤い小馬」は、どちらかというと小品かもしれません。
でも自伝的な作品にはよくある、その作家の本質的な作風を備えているような感じがします。
主人公のジョーディは、スタインベックの少年時代を投影しているらしいです。
少年らしい少年。
自分には決して悪いことが起きない。
起きたとしても上手くかわしてハッピーエンドになる・・・。
という勝手な思い込みを子どもは誰しも持っています。
それはほほえましいものであって責められるべきものではないでしょう。
大人になっていくうちに、世の中には自分の思い通りに行かないことがあり、誰にも平等に(ときには自分にだけじゃないかと思うほど)災難が降りかかることを知っていくのですから。
知るから大人になるのかもしれないけれど。
周りにいる大人のおかげで、その災難が最小限に食い止められることもあれば、逆にとんでもない災難になることもあるでしょう。
夢見たことが破れ、望んだのとは違う形で夢が叶う。
それは不幸なことかもしれないけれど、いずれ立ち向かわなくてはならぬ試練なのなら、豊かな自然と、バラエティに富んだ大人たちの中でそれを知っていくのは、悪いことではないと、思うのです。