T's Cafe

小さな私の体験が、もしかしたら大きなヒントになる・・・かもしれません。前は学校の先生、今は自適のご隠居とおしゃべりしましょ。

恐怖の通勤電車Ⅱ

こんにちは。

T・たまもです。

今日は、道草。怖かった出来事ふたたび。

 

 電車では、いろいろな人と乗り合わせます。
 以前、知人からこんな話を聞きました。


 電車から降りようとして、一歩踏み出したとき。

 後ろからドンッと突き飛ばされたそうです。

 混んでいたわけでもなく、降りようとしていたのは彼女一人のはずでした。

 つんのめって、それでもなんとか転ばずにふんばって、後ろを振り返ると。
 閉まりかけたドアの向こうに、綺麗な女性が。
「それがね、笑ってるのよ」
 彼女は、怖ろしいものを見た、と思ったそうです。
「口角をね、こう上げて、にまあっと・・・」
 私の脳裏には、「口裂け女」のイメージが湧いていました。


 私が乗る通勤電車は混んでいます。

 朝のラッシュの中で、もみくちゃになりながらずーっとスマホをいじっている人がいました。

 脇目も振らず、という感じで。

 何度か一緒の車両に乗り合わせたのですが、ある日、その彼女が、かなり遠い席が空くのを見て、すごい勢いで人混みをかき分けて移動したかと思うと、その席に座りました。

 空いた席の前に立っていた人は、呆然。

 
 まあ、暗黙のルールとして、空いた席に座る権利というのは
1、前に立つ人。
2、1の両横の人。
3、2の周囲の人の順だと思います。

 123が座らなければ、座りたい人で先着順、かな。すごい人もいるもんだわ、と思った朝でした。


 数日後。

 その彼女が、座っている私の前に立ちました。私が降りる2つ前の駅で、彼女が私に体を近付けてきて、耳元でささやきました。
「降りる?ねえ、降りる?」
 えっ!?
 私はうつむいて目をつぶり、寝たふりをしました。

 まだ聞こえます。
「降りる?」


 降りる駅が来て、私は立ち上がり、人の波に乗って電車から降りました。
 振り向くと、彼女らしき人が、私の座っていた席にいます。
 おそらく、彼女は私がそろそろ降りることを覚えていて、聞いたのでしょう。

 落ち着いて考えれば、それだけのことだったのですが、もう同じ車両に乗り合わせるのは遠慮したいと思ったことでした。