こんにちは。
T・たまもです。
今日は古典教材の中でも説話について書きたいと思います。
「今昔物語集」の中から、高校1年生の教材で授業をした「検非違使忠明」。
「宇治拾遺物語」、「古本説話集」にも同じ話が収録されています。
この短い文章の中にほとんどの種類の動詞が使われていて、文法学習の初期段階には良い教材です。
検非違使というのは京の都の治安を司るお役目で、現在の警察官兼裁判官です。
その忠明にケンカをふっかけるのが京童。
優雅なネーミングですが、ここに出てくる京童とは、子どものことではなく(精神的にはコドモなのかもしれませんが)、現代で言うヤンキー。
コンビニ前とか駅前にたむろする、悪ガキたちのことです。
おまわりさんとしょっちゅう小競り合いをしていて、隙あらば突っかかっていこうというヤンキーは、いつの時代にもいるのでした。
という話を授業ですると、
「いるいる、そういうヤツ」と生徒も乗ってきます。
「態度だけじゃなくて、服装とかも、なんかよくわからない主張のある格好なんだよね」と言い出せばしめたもので、江戸時代などにはやたら大きな刀を持って、派手な模様の着物を着て肩で風切って歩いていたいわゆる「かぶき者」がいた・・・なんて話をすると、
「ヤンキー」→「ツッパリ」→「かぶき者」→「京童」の系譜が見えてくるようです。
古典の面白さは現代と変わらぬ人の心と、その時代ならではの人のありようが分かるところにあります。
なるべく生徒がイメージしやすくしてあげたいですね。