こんにちは。
T・たまもです。
教材研究の古いノートを見ていたら、五木寛之の「雪の中の凍った本」というエッセイが目に入りました。
10ページくらいある、教科書に載るエッセイとしてはちょっと長めの文章です。
読書好きな少年であっても、比較的活発な子どもだったという筆者。
それでも、両親は息子が「活字を読むことを好まなかった」。
時代の空気もあり、「あまりものを考えず、直情で、竹を割ったような男の子」に育てたかったのだろうと回想しています。
筆者にとっては活字を通じて「空想の世界に遊ぶ」ことは、大切なことだったので、あらゆる手段を使って本を読もうとするのですが。
夜の図書館に忍び込んだり、通学途中に読んだり、読みさしの本を雪の中に隠しておいたり。
そうやって読んだ喜びの記憶を、それこそ「真の読書」と感じています。
現在、禁じられるどころか義務として読書する作家という立場にあって、なおさらそう思うのでしょう。
でも、当時は少年向けの本だけでなく、わけもわからず大人向けの本も読んでいたわけです。
大人になって読んでこそ価値のわかるであろう作品は、大人になるまで待った方が良かったのではないかとも感じています。
一度読んでいると、再読する気になれないの、すごくわかります。
私も、背伸びしていたものです。
読んだことを後悔はしていませんが、少女の私が読むべき本はもっとあったかもしれません。
つづく。